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#382 緊急事態宣言解除後、「通勤という因習」は復活したのか――ビッグデータで解明

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緊急事態宣言後の通勤時間帯の品川駅

 コロナによる外出自粛で、大都市圏を中心に急激に進んだテレワーク。自宅での勤務に苦労したり、逆に通勤しなくて良いメリットを感じたりしている人も少なくないのではないだろうか。

 

 では緊急事態宣言の解除後、「通勤」の習慣はどれくらい平時に戻ったのか。東京都内の代表的な3つのオフィス街を例に、コロナ禍前後の通勤時間帯の「人の流れ」について独自データで分析したところ、意外なテレワークの実態が浮かび上がった。

緊急事態宣言解除後、通勤客は「急激に回復」

 今回、対象としたのは東京・丸の内、品川(駅港南口方面)、霞が関の3カ所で、いずれも駅に近いオフィス集積エリア。特に通勤時間帯に当たる平日の午前7~10時に絞り、コロナ禍直前から直近までの滞在人口の推移を追った。

 

 本調査では技研商事インターナショナル(名古屋市)がKDDIと開発した地図情報システム「KDDI Location Analyzer」のデータを活用。数百万人分のスマートフォンユーザーの匿名の位置情報ビッグデータをサンプルとして使った(国勢調査データと照合して拡大推計)。

 

 まず3エリアで共通しているのが、東京都で緊急事態宣言が出された4月7日の後のタイミングで人数が急減している点だ。例えば、品川エリアにおける4月17日~23日(緊急事態宣言の全国拡大直後。土日は除く)の平均滞在人口は、コロナが本格的に問題になる前の平時(2月3日~21日の平日平均)に比べ62%減となった。

 

 その後も滞在人口は平時に比べおおむね低めの比率で推移していたものの、5月25日直後、急増傾向に転じているのがグラフから見て取れる。この日は東京都で緊急事態宣言が解除されたタイミングに当たる。6月4日時点で、平時と比較すると品川は57.9%、丸の内も68%まで滞在人口が「回復」する結果となった。

霞が関、7割強まで通勤「復活」

 この2つのエリアは、大企業や外資系が林立する日本有数のオフィス街だ。識者の間では、大都市圏や大手企業を中心に今回のコロナ禍を契機としてテレワークがある程度定着するとの見方もある。ただ、やはり緊急事態宣言の解除によって、平時の通勤スタイルへの一定の“揺り戻し”が生じていると言えそうだ。

 

 丸の内より品川が比較的低めの「出勤率」(滞在人口の回復率)を保っている点について、技研商事インターナショナルの担当者は「同エリアは日本マイクロソフト本社があるなどIT系企業が集積しており、在宅勤務と親和性が高いのでは」と分析する。

 

 ちなみに、これら2エリアと違い純粋な官庁街である霞が関はさらに通勤率が復活しており、6月4日時点で平時の72.6%まで戻る結果となった。民間と違う業務の性質や、根強く残る書類文化などから、官庁ではやはり在宅勤務の定着はちょっと難しいようだ。

 

60代以上、通勤に戻る人多く

 さらに、これら通勤時間帯のオフィス街の滞在人口を年齢別に分けて分析してみた。品川と丸の内では緊急事態宣言の解除後、年齢が上がるほど滞在人口の「復活率」も緩やかに上昇する傾向にあり、特に「60代以上」で顕著な傾向を示した。例えば、宣言解除後の品川の人口(5月26日~6月1日の平日平均)を見ると60代以上は平時の59%まで回復しており、他の年代より10~20ポイントも高めとなった。

若手官僚の多くは「通勤生活」逆戻りか

 技研商事インターナショナルの担当者は「60代以上の人はオフィス勤務者に加えて、ビルの警備・清掃(=現場業務)を担う『エッセンシャルワーカー』も多いと見られ、滞在人口の減少幅が少ないのでは」とみている。

 

 滞在人口を年代別に分析した際に、やはり際立って独特な傾向を示したのが霞が関だ。他の2エリアとは真逆に、緊急事態宣言解除後の滞在人口が突出して「回復」していたのは実は「20代」。宣言解除後の1週間で、平時の72%にまで戻る結果となった。一般的に年功序列が民間に比べ色濃く残るとされる官僚の世界だが、「若手はテレワークせず出勤」の実態が垣間見えるようだ。