コストライフの防災ブログ改め「新しい生活様式(New Life Style)」ブログ

~新型コロナと共存しつつ、社会経済活動を行っていくために、感染拡大を予防する「新しい生活様式」の取組を定着することが重要です。一緒に取り組んでいきましょう~

#329 日本はコロナ危機ではなく人災だ

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マスクや10万円を配ること自体が危機感のなさを表している
<日本より遅れてコロナ危機に襲われた欧米では、大きな犠牲を払いながらももう経済再開へのギアチェンジが始まっている。中国、韓国は既に走り始めた。ところが日本は、今ごろ医療崩壊の危機に直面し、緊急事態宣言を全国に拡大したばかり。なぜこんなに対応が遅れたのか>

 

 欧州はまだ死亡者は増え続けているが、早くも経済活動再開のタイミング、やり方に議論が進んでいる。死者が4万5千人を超え、まだ毎日2500人以上死んでいる米国ですら、再開の時期、やり方をめぐって論争が起きている。再開を求めてデモが起きているほどだ。

 アジアではいち早く活動を再開している。それは予想を上回るスピードで収束のめどを立てられたからで、台湾、韓国は世界中から絶賛される対応で乗り切り、中国でさえも経済活動の回復では世界の先陣を切っている。

 一方の日本は、緊急事態宣言を4月7日になってから行うというもっとも遅れた動きをし、さらにいまさら、14日にこれを全国に拡げた。さらに、これでは不十分で活動制限をどう強化すべきか、という議論さえ4月22日の今、行われている。

 なぜ、日本はこれほど対応が遅いのか、遅かったのか。

 

<科学より世論優先>

 理由は2つある。

 1つは専門知識の不足と軽視である。

 政府の感染防止策、対応策は、世論に突き動かされたもので、その世論も、一部のメディアで煽る専門家に振り回されて、かつそれをSNSで増幅した、論理的でないものであり、科学的なアプローチ、検討を致命的に欠いているものであった。しかし、それに対応する形で、専門家を集めた会議などを行っておきながら、結局は、世論優先で政治的に対応を決定してきたために、非常にチグハグで、効率の悪いものになった。

 しかし、もう1つは、そしてこちらが決定的に重要なのであるが、日本のコロナ危機は、世界でもっとも深刻度が低いものであったからだ。

 死者が出ているから、このような発言は避けるのが普通だが、そのため誰も言えなくなっているが、あえて言うと、日本のコロナ危機は相対的に深刻でなかったし、いまだにそうだ。死者は増え続けているが、いまだに300人弱であり、米国の約200分の1だ。対応を絶賛されているドイツですら死者は5000人を超えている。イタリアはいうに及ばず、スペインもフランスも2万人を超え、イギリスは1万8千で今週に2万を越えるのは確実だ。人口は日本の半分でこれだから、人口比で言ったらとてつもない日本との差だ。

 この結果、日本の人々は、真の意味での危機感がなく、ただの空騒ぎをしているのである。

 切実な声は、ほとんどが中小企業、とりわけ飲食店からのものだ。このままではつぶれてしまう、死んでしまう、というものだ。ほとんどすべては経済的な危機なのである。

 

 
<中小企業も真の危機感に欠けている>

 一方、政府は最大限の対応をしている。中小企業への資金繰り融資は世界的にももっとも経験豊富だ。政府系金融機関がこれほど発達している国は先進国ではない。これに加えて、民間金融機関を通じても資金繰り支援を行うことを政府はいち早く打ち出し、5年間返済猶予の無利子無担保という世界に類のない破格の支援策だ。

 日本ではこれが破格だと認識されていないのは、日本政府はいつもこの手の資金繰り支援を行っており、公的金融機関も慣れているから、特別感がなく、当たり前と思っているからだ。そして、いつもやっているから、動きは迅速だった。

 米国も、今回は史上初の試みをFRB(米国の中央銀行)が行い、中小企業に対する金融支援措置が議会を通過したが、その37兆円の融資保証枠が早くも枯渇し、追加措置が決定し、30兆円超の保証となる見込みだ。一方、経験豊富な日本は融資資金が枯渇していない。

 しかし、これではだめだと日本の飲食店の人々が訴えているとメディアは報道している。理由は、いつまでこれが続くか分からないので、借金はしたくない。なんとかしてくれ、というものだ。

 

<政府に現金給付を求めるな>

 これは真の危機感がないことの表れだ。本当にいつまで続くか分からないのであれば、政府の支援金で売り上げゼロで長期にわたって維持できるとは思えないから、一日でも早く廃業し、止血するべきである。

 投資をかなりしていて続ける意思が強いなら5年返済猶予の無利子無担保の融資を受けて資金繰りをしのぎ、2月半ばから5月半ばまでの3カ月の売り上げの急減による赤字を5年かけて返済する方策を採るしかない。

 危機である米国は生き残りをかけて従業員を解雇したため、1カ月で2000万人の新規失業者が生まれ、37兆円の資金支援措置は、従業員に対する休業手当を払うための支援であり、米国ですら給付ではなく、融資支援だ。

 日本の飲食店の難しさは賃料の問題で、日本の不動産取引慣行は柔軟性に欠けているという問題点がある。政府に訴えるべき点はこの点で、家賃の猶予、減免をオーナーと交渉するために政府が全力で支援するべきだ(政府は、オーナーに減免した場合の優遇措置を決定した)。

 つまり、日本政府の中小企業支援の体制は世界最高水準なのである。オーナーと家賃交渉をとことんする前に、従業員を解雇する前に、政府に現金を要求するのは順番が違う。

 まずは経営者として、賃金と家賃に関する政府の支援を全面的に活用し、従業員には休業手当で耐えてもらうか、解雇して失業手当で耐えてもらうか説得し、家主と交渉する。これが経営者としての現在緊急にやることのすべてであるし、それでも継続が難しいと判断するなら廃業するべきである。

 しかし、世論は政府に現金給付を求め、政府ができないというと、自治体が現金を給付することとした。東京都は50万、あるいは100万円を配る。そんな国は世界中どこにもない。

 

<「紙と鉛筆で」感染経路を追う保健所>

 なぜ日本だけができるのか? 危機が他の国ほど深刻でないからである。米国でやったら、あっというまに国家破産である。

 一方の政府も危機感がないから、世論対策で消費者を含む全国民に14兆円を配ることにした。もし危機が深刻なら、14兆は消費者に一円も配るべきではないし、その余裕はなく、すべては失業者、倒産防止のための資金繰りの金融支援に投入するべきだし、そうしないと持たない。

 医療崩壊は起きている。すでに大きな危機だ、という意見が大多数だろう。しかし、ニューヨークの惨状に比べれば、危機ではない。いまだに、新型コロナ専用とそれ以外の病院の分業を完全に実施せずに行っているのは、それでもぎりぎりしのいでいる、しのげるという認識があるからだ。現場が悲鳴を上げているとしても、全体としては今までの制度の延長でしのげると思っているから、抜本的な変更、分業の完全実施を行っていない。

<なぜ必死で韓国に学ばないのか>

 保健所も、紙と鉛筆と電話で、感染者の経路を追っている。これは太平洋戦争当時の戦車に竹やりで向かう以上の戦いで、ロケットに弓で対抗しているようなものだ。韓国に学び、韓国のやり方を100%まねするべきだと思うが、そうしないのは、スマホを用いて、最先端のテクノロジーを総動員しなくてもしのげると思っているからだ。

 人々も10万円を政府に配らせて勝利だというネット世論が盛り上がるぐらい余裕があるのである。危機ならばカネはすべて医療と失業者に集中させなければいけない。

 しかし、それでもコロナは徐々に収まっていくだろう。そして、日本は韓国と異なり、SARS、MERSから学ばなかったように、今回のコロナでも根本的な変化が起きず、次の感染症の危機のときも、危機感のない対応でしのごうとするだろう。そして、いつか本当の危機がやってきて、そのときに初めて、危機感が生まれ、日本も危機対応をする体制に代わっていくだろう。

 今回のコロナ危機で、政府の対応が諸外国に比べて周回遅れの対応になってしまったのは、危機感が国民全体になかったからであり、今ですらないからであり、それは相対的には欧米ほどの危機ではなかったし、今でもないからである。

 そして、経済的な悲鳴が出ているのは、危機ではないのに、中途半端に危機だと煽った、政治家、メディア、人々が多数派であったからである。そのために、余計な対策ばかりに奔走し、マスクや10万円を配るという危機感のない対応をすることなり、知事たちも政治活動に熱心で、休業をお願いするのにカネを配るという世界的に例を見ない、人々に媚びた対応をしたのである。余裕がありすぎたのだ。本当に危機なら、休業は必須だし、カネをもらわなければやらないというような行為は許されないはずだ。今のパニックはコロナによるものでなく、真の危機感のない人々が大騒ぎしたことによって起きた人災だ。

 危機ではないし、危機感もない。これが日本のコロナショックの本質だ。