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~新型コロナと共存しつつ、社会経済活動を行っていくために、感染拡大を予防する「新しい生活様式」の取組を定着することが重要です。一緒に取り組んでいきましょう~

#280 コロナショックで「住宅ローン破綻」の恐ろしすぎる現実

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 住宅ローンを利用している人のほとんどが金融機関の優遇金利制度を利用しているだろうが、そこには大きな落とし穴がある。

 特に、このところの新型コロナウイルスの感染拡大で収入がダウン、住宅ローンの返済が厳しくなっている人がいるかもしれないが、延滞だけは絶対に避けなければならない。

 延滞してしまうと、ローン破綻の道へまっしぐらということになりかねないのだ。

 

延滞が発生すると…

 あまり気にしている人はいないだろうが、住宅ローンの契約書には、「延滞が発生したときには金利優遇の対象外になる」といった記述がある。

 意識している、していないにかかわらず、住宅ローンを利用している人のほとんどが、優遇金利制度の適用を受けている。

 たとえば、銀行のホームページでは変動金利型の住宅ローン金利は0.525%~0.625%などと表記されているが、これは、店頭表示金利の2.475%から1.850%~1.950%差し引いた優遇金利なのだ。

 知らず知らずのうちに、優遇金利制度を利用しているわけで、契約書の記述は、延滞が発生すると、この金利優遇がなくなってしまうことを意味する。

 

 しかし、これを認識していない人がけっこう多い。

 住宅金融支援機構の調査によると、図表1にあるように、「優遇金利の適用ルール(延滞があれば適用されなくなるなど)」について、「十分に理解」「ほぼ理解」している人の割合の合計は42.5%で、「理解しているか少し不安」「よく理解していない」「全く理解していない」の合計は57.4%に達している。あまり理解していない人のほうがかなり多いのが現実だ。

 

図表1 住宅ローンの商品性や金利リスクの理解度
(資料:住宅金融支援機構『2018年度民間住宅ローンの利用者実態調査〔民間住宅利用者編〕(第2回)』)

 

最悪、任意売却や競売もあり得る

 新型コロナウイルスの影響による収入減少で、住宅ローンの返済が厳しくなっている人が少なくないだろうが、残高不足から住宅ローンの引き落しができずに延滞が発生すると、この優遇金利がなくなり、適用金利が上がり、返済額が増えてしまうということになる。

 延滞が続くと、最悪、任意売却や競売によってマイホームを失った挙げ句、住宅ローン返済だけが残るといった事態もあり得る。まさに泣きっ面に蜂、弱り目に祟り目、踏んだりけったりだ。

 もちろん、たった1回の延滞で翌月から実施という非情な金融機関ばかりではない。引き落とし口座に入金するのを忘れていただけのうっかりミスで、翌月から通常通りに返済できることが明らかであれば、猶予してくれるところもあるだろう。

 特に、今回の新型コロナウイルスの影響に関しては、ある程度事情を斟酌してくれるところが多いと考えられるが、原則としては1回でも延滞してしまうと、翌月から金融優遇がなくなっても文句はいえない。少なくともそれだけの覚悟は持っておくべきだ。

 

返済額が5割近く増額になることも

実際、どんな事態が起こるのか、図表2をご覧いただきたい。これは、固定期間選択型の10年固定を利用して、3年経過後に延滞が発生、優遇金利の適用を受けられなくなった場合の試算例だ。

 
図表2  延滞で優遇金利が適用されなくなったときの返済額の変化

 借入額4000万円、35年元利均等・ボーナス返済なしだと、優遇金利が適用された金利0.55%の当初の毎月返済額は10万4720円だが、延滞によって優遇金利がなくなって、4年目からの適用金利が店頭表示の3.15%に戻ると、毎月返済額は15万2498円に増えてしまう。当初の10万4720円に比べると45.6%もの増額だ。

 延滞するということは、生活が厳しくなっているわけだから、この返済額増額によってますます苦しくなり、延滞が続き、ついには任意売却、競売といった事態に追い込まれてしまう可能性がある。

 それだけに、返済が厳しくなったときには、延滞が発生する前に金融機関に相談することが大切。事情を話せば、返済期間の延長などで返済額を減額するなどの救済措置の適用を受けられるかもしれない。その救済策については、本欄の2月28日付けの記事「新型コロナで倒産・収入減…『住宅ローン難民』が増加する可能性」をご覧いただきたい。

コロナを乗り切っても油断禁物

 金利優遇制度の落とし穴はそれだけではない。新型コロナウイルスの影響を何とかくぐり抜けたとしても、安心はできないのだ。

 というのも、住宅ローンの金利優遇制度には、「当初重視型」と「全期間型」がある。

「当初重視型」というのは、当初の一定期間の金利引き下げ幅を大きくして、返済負担を軽減してくれるもので、一定期間終了後には金利引き下げ幅が小さくなるため、適用金利が上昇し、返済額が増えるリスクが大きい。

 一方、「全期間型」は、完済までの全期間にわたって、同じ金利引き下げ幅が適用される。そのため、当初の適用金利は「当初重視型」に比べてやや高くなるが、一定期間後の金利上昇リスクが小さくなるという安心感がある。

 利用者からすれば、当初の返済負担が軽くなるものの、一定期間後のリスクが大きくなる可能性のある「当初重視型」か、当初の負担はやや重くなるものの、一定期間後の返済額増額リスクが小さくなる「全期間型」にするか――どちらをとるかの選択になる。

 特に、「当初重視型」に関しては、その点を理解しないまま、当初の返済額が少なくなることにひかれて、利用している人が少なくないようだ。

 先の住宅金融支援機構の調査でも、それは明らか。図表1にあるように、「適用金利や返済額の見直しルール」に関して、「理解しているか少し不安」「よく理解していない」「全く理解していない」の合計割合が46.9%に達しているし、「将来の金利上昇に伴う返済額増加への対応策」に至っては、理解していない人の合計の割合が59.6%と6割近くに達している。

 

「全期間型」の安心感

 実際、どれくらいの影響があるのか、たとえば、三菱UFJ銀行の固定期間選択型の10年固定をみると、以下のようになる。

 三菱UFJ銀行の店頭表示金利は3.15%で、「全期間重視型」は、そこから最大1.85%金利を引き下げて1.30%になっている。金利はやや高めになるが、11年目からも金利引き下げ幅が1.85%と変わらない。

 もしも10年後の金利が借入時のままの3.15%であれば、そこから1.85%を差し引いた1.30%が適用され、返済額の増額はない。当初の適用金利がやや高く、返済額が若干重くなったとしても、その後の増額リスクが小さくなるので安心感があるわけだ。

 一方、「当初重視型」は、店頭表示金利の3.15%から、当初10年間は2.60%引き下げて0.55%になる。「全期間重視型」の1.30%に比べて破格の金利であり、変動金利型並みの低金利で10年固定を利用できることになる。

 当初10年間の負担差を、借入額4000万円で試算すると、35年元利均等・ボーナス返済なしの場合、「当初重視型」の0.55%なら毎月返済額は10万4720円だが、「全期間型」の1.30%だと11万8592円になる。月額1万3872円もの差になるのだから、どうしても「当初重視型」を使いたくなるが、その先に落とし穴が待っている可能性がある。

 というのも、この大幅な金利引き下げは文字通り”当初“の10年間だけで、11年目からの金利引き下げは1.60%に縮小される。金利引き下げ幅が2.60%から1.60%になって、10年後の店頭表示金利が借入時と同じ3.15%のままであったとしても、適用金利は1.00%上がって1.55%なってしまうわけだ。

 

金利変化なしでも返済額は12.3%増額

 その場合、図表3にあるように、毎月返済額は11万8054円に増える。当初の10年間の10万4720円に対して12.3%の増額だ。

図表3  固定期間選択型の10年固定の金利リスク例

 10年の間に経済環境が好転して、金利が上昇することも十分にあり得る。仮に、1.00%上がって、店頭表示金利が3.15%から4.15%に上がってしまっていると、適用金利は2.55%となって、毎月返済額は13万2389円で、当初10年間に比べると26.4%の増額。さらに、2.00%上がって5.15%になると、14万7699円に増えて、41.0%もの増額になってしまう。

 変動金利型の住宅ローンには、5年後の返済額見直し時の増額率は25%までに抑えるというルールがあるが、固定期間選択型には適用されない。金利動向によっては、3割、4割と返済額が増えてしまうリスクがあるのだ。

 その場合には、他の金融機関に借り換えて、その時点の最優遇金利の適用を受けられるようにするのが現実的だが、それにしても借換えには諸費用負担がともなうので、大きな負担なる点は変わらない。

 

優遇金利の仕組みを理解しよう

 住宅ローンの優遇金利、上手に活用すれば少ない負担でマイホームを手に入れるための心強い味方になってくれる。

 しかし、そこにはリスクも潜んでいるので、その点を十分に理解して、万一に備える対策を立てておかないとたいへんなことになる。何よりも、優遇金利の仕組みをシッカリと理解しておきたい。「敵を知り、己を知れば、百戦危うからず」ということだ。