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#274 西松建設「工事中止」宣言 横並び建設業界に波紋

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西松建設はウェブサイトで緊急事態宣言を受けた「工事中止」の方針を発表した

 新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、安倍晋三首相が7日に発令した緊急事態宣言を受け、西松建設が打ち出した「工事中止」の方針が建設業界に波紋を呼んでいる。ある建設会社の幹部は「朝、西松さんのウェブサイトを見てびっくりした」と打ち明ける。別の建設会社でも「あそこまで、よく踏み込んだな」と驚きの声が上がっている。異例の決断に至った背景を解説する。

 

■全ての発注者に中断申し出

 国土交通省は緊急事態宣言発令の直後、宣言対象域内で既に契約を結んでいる直轄工事について対応策を発表。受発注者による協議を開き、受注者から一時中止や工期延長の希望がある場合には中止措置などを取るとした方針を地方整備局や北海道開発局などに通知した。この対応策を受けて受注者である建設会社がどんな方針を取るかに注目が集まっていた。

 西松建設は8日、自社のウェブサイトで緊急事態宣言を受けての対応を公表。「施工中の現場について、発注者と協議のうえ、工事中止・現場閉所することを基本方針とする」と表明した。公共と民間、土木と建築の別なく、全ての工事を対象とする。自ら官民の発注者に申し出て、相手が拒まなければ工事を中断する。

 前日の7日、緊急事態宣言の発令に備え、高瀬伸利社長をトップとする同社BCP(事業継続計画)対策本部を開催し、今後の対応を協議した。社内では「工事中止は非常に難しい」といった意見もあったが、最終的に感染拡大防止に向けた「企業の社会的責任」を重視した。

 工事中止方針の決定は、主要建設会社では初とみられる。

 

大林組は「原則として工事を継続」

 国交省は2月下旬以降、受注者の意向に応じて直轄工事を一時中止する方針を掲げてきた。しかし、受注者から一時中止を申し出たのは、対象工事約9000件のうち約200件(2.2%)にすぎなかった。西松建設もこれまで一時中止を申し出たことはなかったが、今回は緊急事態宣言を重くみて、国交省にその意向を伝える方針だ。

 他社は工事継続の方針を次々に打ち出している。大林組は8日、「原則として工事を継続する」と表明。大成建設は「発注者から要請を受けた場合、一時中止などの対応を個別に協議する」と話す。鹿島も自ら積極的に一時中止を申し出る考えがないことを明らかにした。大手、準大手など主要建設会社では、同様の考え方が大勢を占める。

 そうしたなかで飛び出した西松建設の「工事中止」宣言――。建設業界では「民間発注者の理解を得られるのか」「営業担当者が苦労しそうだ」「日給などで働く作業員への補償をどうするのか」「工事を中断している間に作業員が他社の現場に流れるのではないか」「工事再開時に作業員を集められるのか」など、その実効性を懐疑的にみる向きが多い。

 ただ一部では、工事の継続を懸念する声も上がっている。「建設会社だけが工事を続けていると、一般の人たちから反発を招きかねない。世間では工事現場は不潔だとみられている。稼働中の現場を見て、感染拡大を連想する人も出てくるかもしれない」(準大手建設会社)。今後の世論の動向次第では、西松建設に追随する動きが出てくる可能性もある。

(日経クロステック/日経コンストラクション 谷川博)

[日経クロステック2020年4月9日付の記事を再構成]