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#166 武蔵小杉タワマン住民の「本当の悲劇」がこれから始まる【その4】

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「また水没したら終わり」

 人がいなくなればなるほど、共用費は当然高くなる。憧れだった共用ラウンジやプライベートシアターまでも、家計の負担になっていく。自室や建物の外観に損傷がなくても、内部ではマンション運営の「崩壊」が始まることになる。

 浸水の危険性がある地域に建てられた高層マンションは、どこもパークシティ武蔵小杉と同じような被害に見舞われるリスクがある。マンション管理士の日下部理絵氏はこう言う。

 「パークシティ武蔵小杉のように、10年ほど前に建てられたタワマンでは電気設備が浸水しやすい地下階にあるケースも多いです。もしものときの対策は原始的で、土嚢を積むか、止水板を立てるくらいしかない。運用ルールとそれなりの人手も必要です。保険では水害を完全にカバーできないことを考えると、重大なリスクと考えておいたほうがいい」

 このところ、台風やゲリラ豪雨による被害は毎年のように起きている。今年も、首都圏を記録的な集中豪雨が襲う可能性は十分にある。

 ある住民は嘆息する。

 「いま、一番の望みは、去年のような台風が来ないことです。1回目も想定外だったのだから、2回目はさらに何が起こるかわからない。せっかく直しているところがもう一回水没したら終わりです」

 もし修繕積立金が尽きた時に2回目の浸水が起きたら、ライフラインを復旧させることすらままならなくなるかもしれない。災害からの安心安全を謳っていたタワマンが、思わぬところから一挙に「負債マンション」へ転落してしまうのだ。

 「今回の被害で、パークシティ武蔵小杉は『事故物件扱い』になってしまったかもしれません。一時ほどではないとはいえ、地価が高止まりしている武蔵小杉ですが、この物件は少なくとも2~3年は、台風前の金額で買い手がつかないでしょう。

 我慢して住んでいるうちに、タワマン市場全体の価格が値崩れする危険性もある。売るに売れない、ただ待っていても危ない、そんな物件に住民は閉じ込められてしまった、と言うほかありません」(前出・榊氏)

 武蔵小杉の悲劇を憐れんでばかりはいられない。台風被害は、いかなる高層マンションでも起こりうる。

 『週刊現代』2020年1月25日号より

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