コストライフ㈱の防災ブログ

~命を守る行動を~

#165 武蔵小杉タワマン住民の「本当の悲劇」がこれから始まる【その3】

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修理費用は誰が出す

 管理組合加入の損害保険も、保険金が下りるのはあくまで共用部分の修理などにかかる費用のみ。しかも、その保険が水害に対応しているかどうかはケースバイケースで、今回のパークシティ武蔵小杉の場合でも、修理費用を全額まかなえるとは限らない。

 住宅ジャーナリストの榊淳司氏は語る。

 「タワマンの欠点は、通常のマンションにくらべて維持管理、そして修理のコストが非常に高いことです。地下駐車場がストップし、電気系統も故障したとなると、被害総額は3億~5億円にのぼってもおかしくありません。管理組合加入の保険に水害特約があっても、全額補償は難しいのではないでしょうか」

 保険でまかないきれなかった修理費用を、いったい誰が払うのか。電気や水道の復旧で安堵している住民の「本当の悲劇」が始まるのは、具体的な被害総額が明らかになってからだろう。

 近隣の不動産業者はこう言う。

 「パークシティ武蔵小杉の住民には、『このマンションが水没したのは、川崎市の台風対応が遅れたからだ』と主張する人もいます。それで、川崎市から修理費用を引っ張り出そう、と。

 ただ、いざ訴えたところで、勝てる望みは薄いでしょうし、争いが長期化すれば工期は延び、大規模修繕も後回しになる。おまけに、デベロッパーと管理組合、そして住民の関係性は悪くなる一方だと思うんですがね」

 国が発表している洪水リスク情報では、パークシティ武蔵小杉が建つエリアの想定浸水レベルは「0・5m~3m」と指定されている。「氾濫時は大人でも避難が困難」であるとされ、もともと浸水被害がいつ発生してもおかしくない土地だった。

 保険で修理費用をカバーできないなら、修繕積立金を前倒しして使うしかない。だが、これがタワマンの「負のスパイラル」の始まりとなりかねない。

 「修繕積立金は、基本的にイレギュラーな出費のために貯めているおカネではありません。1回目の修繕を乗り切れたとしても、2、3回目は2倍近くのコストがかかるとされるのがタワマンです。

 想定外の出費で修繕積立金を値上げせざるを得なくなると、ローンも併せた負担に堪え切れずマンションを出ていく人が増える。賃貸運営の場合も、維持費用がかさむと利回りが低下します」(前出・榊氏)

 

その4へ続く