コストライフ㈱の防災ブログ

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#147 一見華やかで頑丈そうに見えるが…タワマンの弱点「大規模修繕」 マンション業界の秘密

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タワマンの修繕工事費用は高騰か

【マンション業界の秘密】

 昨年は台風19号のもたらした水害で、電気や水道、トイレが使えなくなったタワーマンション(タワマン)がずいぶんと話題になった。

 今年は別の問題でタワマンの弱点が多くの人に知られるかもしれない。

 一見華やかで頑丈そうに見える割にはさまざまな弱点がある。2つ挙げるとすれば災害と大規模修繕だろう。災害については昨年以来いろいろなメディアに書いたので、ここでは大規模修繕の問題を取り上げてみたい。

 まず、お金がかかる。

 タワマンが大規模修繕工事を行う場合は、通常の板状タイプに比べてだいたい2倍程度の費用がかかると考えてよい。通常は戸当たり100万円が目安だが、これが200万円になる。

 当然、その費用は区分所有者が負担する。だからタワマンで毎月徴収される修繕積立金の1平米単価は、板状型の約2倍としなければいけない。

 ところが、不動産会社は販売をスムーズにしやすくするために当初は安めに設定し、徐々に値上げしていく方式を採用している場合が多い。「15年目からは当初の3倍に値上げ」などというパターンが一般的だ。新築購入時には、そのあたりを十分に注意したい。

 次に、工期が長い。

 通常の板状型は建物のまわりに足場が組める。だから数カ月程度の工期で工事を終えられるケースが多い。

 しかし、足場を組めないタワマンの上層階は、屋上にクレーンを設置して作業用足場等をつるす手法が取られる。作業効率が悪くなるので、1層あたりの外壁補修工事を終えるのに約1カ月かかる。30階分なら30カ月ということになる。

 板状型のマンションでは新築時の施工精度がしっかりしていれば、築15年程度での外壁補修工事は不要な場合も多い。大規模修繕では外壁補修を必ず行わなければならないように思われているが、それはマンション管理会社側が作った都市伝説で、だまされてはいけない。

 ■外壁補修が必要

 ただし、タワマンの場合は大規模修繕の度に外壁補修工事を行うべきだろう。その理由は、その外壁構造にある。

 タワマンの場合、建物荷重負担を軽減するために、工場で作られる軽量なALCパネルという建材を使用している。これと躯体やサッシュとの継ぎ目にはコーキング剤を使う。このコーキング剤の耐用年数が、おおよそ15年とされている。劣化したままにしておくと雨漏りの原因となる。だから、大規模修繕工事ごとの外壁補修が必要なのである。

 1997年の建築基準法改正で建てやすくなったタワマンは、2000年頃から竣工ラッシュとなった。その頃に竣工したタワマンはちょうど大規模修繕工事ラッシュとなる。

 さらに、ここ10年ほど工事費は高騰したままの状態である。タワマンの管理組合が大規模修繕工事費用の見積もりを取ってみたら「全然足りないじゃないか」というケースもあるはずだ。

 その場合は「1平米当たり1万円」といった一時金が徴収されることもある。今年はそういった話題も多くなりそうだ。



 ■榊淳司(さかき・あつし) 住宅ジャーナリスト。
同志社大法学部および慶応大文学部卒。不動産の広告・販売戦略立案・評論の現場に30年以上携わる。著書に「マンションは日本人を幸せにするか」(集英社新書)など多数。