コストライフ㈱の防災ブログ

~命を守る行動を~

#132 タワマンが被災すると…「武蔵小杉vs.豊洲」災害リスクを比較【その3】

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その2】からの続き
 
単身者も取り込む武蔵小杉、ファミリー層に強い豊洲

 元々は工業地だったが、工場の移転により再開発が進んだという、似たような歴史をもつ「武蔵小杉」と「豊洲」。では、二つの地域を不動産投資の観点から見ていこう。

 まず地域の人口と世帯構成だが、武蔵小杉周辺の1世帯あたりの人数は1.85人で賃貸世帯の割合は55.6%。一方、豊洲周辺の1世帯あたりの人数は2.26人で、賃貸世帯の割合は38.09%。武蔵小杉のほうが賃貸物件に住む単身者層が多く、豊洲のほうが持ち家のファミリー層が多いという現況が見えてくる。


以前の武蔵小杉は工業地と住宅地が混在するエリアだったため、いまでも賃貸物件は多い。都心へのアクセスの良さから、単身者にも人気の街となっている。一方、埋め立てによって生まれた豊洲は工業地が圧倒的に多く、住宅地はごく限られたエリアにしかなかった。再開発によって生まれたマンションは分譲が多く、自ずと持ち家のファミリー層が多い地域となっているのだ。

 次に中古マンションの平均取引価格と、その種類を見ていく。武蔵小杉の平均取引価格は4211万円に対し、豊洲は5408万円と、800万円近くの差がある。単身者向けの1K、1DK、1LDKの割合が、武蔵小杉は25%強なのに対し、豊洲は15%となっており、その差が価格差となって表れていると考えられる。またここからも、単身者もファミリー層も取り込む武蔵小杉と、ファミリー層に強い豊洲、という性格の違いが垣間見られる。

 今後の不動産投資の可能性は、両地域とも安定的な人口増加が予測されている。特に都心から近い豊洲のほうが人口増加は顕著で、将来的にも地理的有利性は変わらないと考えられる。

 
洪水、高潮、地震…武蔵小杉や豊洲はどうなる?

 武蔵小杉は単身者層もファミリー層も狙える地域、豊洲はファミリー層を狙う地域という違いはあるが、両地域とも将来的に人口増加が見込まれており、投資対象としても魅力的だといえるだろう。

 しかし、気になるのが災害リスクである。

 武蔵小杉で懸念されるのは、まず多摩川が氾濫した際の浸水被害。ハザードマップを見てみると、武蔵小杉周辺では0.5m~3.0m、一部の地域では~5mの浸水が想定されている。

 豊洲で懸念されるのが、まず隅田川が氾濫した際の浸水被害だ。ハザードマップを見てみると、豊洲周辺には0.2~1mの浸水が想定される地域が点在する。もう一つ心配されるのが高潮による被害だ。東京都の想定によると、東京湾で高潮が発生した際、豊洲付近では最大3~5mの浸水を想定している。

 また両地域とも、内水氾濫の心配もある。内水氾濫とは、市街地に大量の雨が降った際に、処理能力を超えてしまったために排水溝などから雨水があふれたり、川の水位が上昇して雨水を川に流せずに浸水したりするものである。昨年の台風19号では武蔵小杉がこの被害にあったが、都市部の低地であればどこで起きてもおかしくないと指摘されている。東京近郊で不動産投資を考えるのであれば、考慮しなければいけないリスクのひとつだ。

 また今後心配される自然災害といえば、地震である。今後30年で70%の確率で首都直下地震が起きるとされているから、無視するわけにはいかないだろう。国立研究開発法人防災科学技術研究所の「J-SHIS地震ハザードステーション」で、両地域の表層地盤増幅率(地表面近くに堆積した地層の地震時の揺れの大きさを数値化したもの)を見てみよう。1.6以上は地盤が弱く揺れやすい、2.0以上は特に揺れやすいと評価されるが、武蔵小杉周辺は2.38、豊洲周辺は2.26と、両地域とも地震の際には「特に揺れやすい」という評価だった。

 これは両地域の地盤が関係する。武蔵小杉周辺は細粒土の堆積物からなる後背湿地であり、豊洲は前述の通り埋立地である。どちらも地震の揺れに弱い軟弱な地盤である。このような地域の物件であれば、当然耐震化、免震化が進んでいるだろうし、再開発地域なら火災の延焼のリスクも低い。ただし地震の揺れには弱い地域である、ということは頭に入れておきたい。

 武蔵小杉も、豊洲も、自然災害に強いとは言い難い地域であることは明白だ。これらの地域で投資を考えるのであれば、自身が災害リスクをどこまで許容できるか、しっかりと検討することから始めるのが正解だといえるだろう。