コストライフ㈱の防災ブログ

~命を守る行動を~

#111 「あえて真夏開催」の東京オリンピック、日程変更ムリな理由が判明【その2】

その1】からの続き
 
人気競技の決勝はすべて午前中

 発表された東京五輪の競技日程を見て、奇妙なことに気づいた人もいるのではないか。

 競泳や陸上9種目(走り幅跳びや400mハードルなど)、バスケットボール、ビーチバレーなどの人気競技の決勝が、軒並み午前中に開催されるのだ。

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 「競泳はすべての種目で予選が夜7時から始まり、準決勝・決勝は朝の10時半スタートとなっています」(前出・五輪担当記者)

 主要な国際大会は、夕方以降に決勝を行うのが通例だ。オリンピックではそれが逆になっている。

 「男子バスケットボールに至っては、決勝を午前中に始めるために、3位決定戦が後回しにされています」(同)

 なぜこのような不自然な競技時間となっているのか。前出の谷口氏が説明する。

 「日本時間の午前がちょうど、北米のゴールデンタイムに当たるからです」

 米・NBCIOCに莫大な放映権料を支払っているのは冒頭でも見た通りだ。日本とアメリカには14~18時間の時差がある。日本で午前に競技が行われれば、アメリカ国民は夕方から夜にかけてそのライブ放送を楽しめるというわけだ。

 しかし、困るのは競技に参加する選手たちだ。

 「競泳などは複数種目に出る選手も多い。調子が出きっていない午前に決勝を泳ぎ、そのダメージをひきずったまま、今度は午後に別の予選を泳ぐなど、まったく本来の力が出せなくなってしまいます」(前出・記者)

 さらにスタッフ、ボランティアにも影響が及ぶ。早朝の競技のために泊まりで準備をしなければならないケースも出てくるだろう。長時間の拘束や交通費、宿泊費の増加など、多大な影響が出る恐れがあるのだ。

 「『選手ファースト』ならぬ『アメリカの放送局ファースト』で物事が決められているのです」(前出・ボイコフ氏)

 果たして誰のためのオリンピックなのだろうか。

 

 

巨大台風でも大会延長はできない

 暑さばかりに注目が集まっているが、同様に懸念されるのが、台風などの自然災害である。東京五輪が開催されるのは7月24日~8月9日だ。'18年は8月9日に台風13号が、'17年には8月7日に台風5号が日本に接近し、大きな被害をもたらした。五輪の期間中に大型台風が列島を直撃する可能性は十分にある。

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 通常の大会であれば、競技の日時を変更したり、競技期間を延長して対応するのが普通だろう。だが、五輪の場合はそうはいかない。

 「実はオリンピック憲章には、『五輪の競技期間は16日間を超えてはならない』という規定があるんです。これは期間が長くなることで、選手や関係者の宿泊費、会場を借りる費用などが増大するのを抑えるためとされています。

 IOCは、期間の長期化によって、世間の五輪に対する関心が薄まることで、『五輪ブランド』の価値が低下することを懸念していると言われています。いずれにせよ、台風が来たとしても、大会期間の延長はできないのです」(前出・五輪担当記者)

 かといって、競技日程を変更するのも難しい。米大手テレビ局の意向があるため、スケジュールを動かすのは至難の業だ。ゴルフなど、大会の日程期間内に予備日を設けている競技以外は、強行される可能性がある。

 大型台風が近づく中で競技を行えば、選手やボランティアが帰宅難民になったり、事故やケガ、そして「最悪の事態」も起こりかねない。前出・小笠原氏はこう語る。

 「東京五輪の数々の問題に対して、正論を唱えても、大手メディアでは取り上げられず、組織委員会にも届きません。東京五輪に不安や不満を抱えている人は数多くいるはずですが、いまの日本ではいないことにされてしまっているのです」

 五輪に対してあなたが持った違和感は正しい。「感動」「レガシー」、そんな言葉で誤魔化されてはいけない。

 『週刊現代』2019年12月7・14日号より