コストライフの防災ブログ改め「新しい生活様式(New Life Style)」ブログ

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#79 台風19号 川崎市内浸水2カ月 水門全開の判断 住民の不満噴出

市側の説明に対し、被災者から不満が噴き出した先月19日夜の住民説明会=川崎市中原区

 川崎市内に浸水被害をもたらした台風19号の襲来から十二日で二カ月。罹災(りさい)証明の発行件数は三千件を超え、住宅が泥水に漬かった被災者は多額の修繕費とともに、「来年もまた浸水したら…」との不安にも見舞われている。安全・安心な暮らしを願う市民の声に、市はどう応えるのか。

 

 川崎市が先月始めた住民説明会で浮き彫りになったのは、住民たちが今も直面する被災の現実だった。

 

 「家が八十四センチ浸水し、家具も家電もアルバムもだめになった。直すのに九百万円くらいかかると聞いて、すぐに動けない状況」「台風はまた来る。いつになったら、このへんは安全になるんですか」

 

 矛先が向けられたのは、正面に並んだ市上下水道局の幹部たち。浸水原因として、市街地にたまった雨水を多摩川に排水する「山王排水樋管(ひかん)」を通じて、増水した多摩川の泥水が逆流した、との見方を示した。

 

 市がホームページで公開した樋管の操作要領に、その役割が明記されている。「(樋管のゲート操作は)逆流を防止し、流域住民の生命や財産を災害から防御することを目的とする」

 

 しかし、逆流を防げなかった。市側はむしろ、雨水を多摩川に排水できずにあふれる「内水氾濫(ないすいはんらん)」を警戒してゲートを閉めず、全開にしていた。

 

 担当者は説明会で、市街地で降雨がある場合はゲートを閉じない、という内規を挙げて「大雨が降る予報が出ており、操作手順に基づく判断だった」と繰り返した。「多摩川が観測史上最高の水位を記録し、われわれも経験のない事象だった」とも語った。

 

 これに対し、住民からゲート操作を巡る不満の声が噴出。一部には、有志の会を結成して「これは人災」と指摘し、第三者委員会の設置や賠償を市側に求める動きが出ている。

 

 福田紀彦市長は六日の記者会見で「(ゲートの操作手順が)このままで果たしていいのかと言ったら、そうではない」と見直しに言及。来年三月に結果をまとめる検証作業に関して「お手盛りではないか、という不信感を持たれないようにする」と強調した。

 

 今月五日、中原区上丸子山王町であった住民説明会。最前列にいたスーツ姿の男性が声を詰まらせ、訴えた。

 

 「水害がまた起きたら、もう住みたくない。どうやって守るのか…ちゃんと考えてほしい」

 

◆罹災証明3000件超 さらに増加か

 川崎市の11日現在の集計によると、台風19号による罹災(りさい)証明書の発行件数は3094件に上る。被災者からの申請に対する発行率は99.3%。申請はさらに増える見通しだ。

 

 区別の発行件数は、広範囲で浸水被害があった中原区が1285件、高津区が1243件の順に多い。この2区だけで全体の8割を占めている。

 

 市が6日発表した、床上・床下浸水の被災者に対する独自支援策では、被災者生活再建支援法の支援対象にならない「半壊」「一部損壊(準半壊)」「一部損壊(10%未満)」と認定された住宅の世帯主に対し、一律30万円を支給する。

 

 実は、支援法の対象になる「全壊」「大規模半壊」は約75世帯。被災者の大半が、支援法の対象外になってしまうためだ。

 

 この支援金を受け取るためには、罹災証明による被災状況の確認が必要。ただ、床下浸水による「一部損壊(10%未満)」の場合、災害救助法による住宅の応急修理制度の支援も対象外のため、罹災証明の申請を見送っている可能性もあるという。

 

 市の担当者は「独自支援策を受け、さらに罹災証明の申請は増える」と見込んでいる。